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theoretical CPJ
theoretical CPJ〜 FJJの100曲〜各曲の音楽的構造〜
〜序文〜
そもそもジャズとはなんなのだろうか?
その特徴を限りなく限界まで際立たせた形がCPJだ!
CPJ(Contemporary Progressive Jazz)とは、
Cはハーモニーが新しい、
Pはリズムが新しい、
Jはアドリブを含む
という意味で、
全体的に要約すれば
『ハーモニーと、リズムと、メロディー、 そして書き譜とアドリヴ!』
『ハーモニー』とは、ジャズの中でも非常に重要な要素だ!
垂直的と並行的なハーモニーがあり、
垂直的なものは、同時発音的なものということになるが、
コードの中での基本的な1度、3度、5度に、 7thと言われる7度が入ったものに、
コードの種類次第で一つ一つにシャープやフラットが付くことで、
♭3、♭5、♭7などが入ることでコードの種類が明確になるが、
9th、11th、13thなどのテンションが、
全てのコードの種類に合うようにシャープやフラットもつけた状態 で、
♭9、#9、#11、♭13、などの形で乗せられる。
それによって同時発音できる音の複雑性がクラシックの頃の和声に 則った上で更なる拡がりを見せる。
更にはハイブリッドコード、ポリコードが味わいを深める。
しかも、どちらかというと更に重要だと思われるのは、
平行的なハーモニーだ!
これはジャズの基本的な理論を網羅すればわかることだが、 基本的にジャズでは、
もともとの調性に関連するあらゆる調性感までを関連付けているの で、
簡単には「転調」を認めないが、
ジャズにおいてのコードの流れの中では、
スタンダードなジャズですら、
それまでにあったクラシック的な分析で言えば
「転調」
ということになってしまう概念がたくさん放り込まれているのだ。
つまりは転調していない段階でもスケールは何度も変化し続けてい るので、演奏は困難を極める。
そして更にコンテンポラリージャズという境地に達すると、
ジャズ理論を網羅しても
「転調」
と認めざるを得ない概念がどんどん入ってきて、
スケールが変化し、煌びやかなときめきのある展開を続ける。
問題はそれら全てのスケールを完全に把握している上で、
スケールからスケールへと縦横無尽に違和感なく飛び移りながらア ドリヴをする天文学的な力を必要とすることではある!
そして更には、アウトライニングという概念がある!
それは伴奏のコード進行に対して、
わざと、ある種の確実性のある関連性を持っている状態で、
実際の伴奏の調性から綺麗に外れて、 そして戻ってくる奏法である!
このアウトライニングまでの構造の発展性も、
実は1980年台あたりで頭打ちとなり、
これ以上の発展をしようとすると、
機能調性が淀んで破綻してしまうという限界点に達してしまってい るので、
そこまでのハーモニーの精度を深め続けるだけの時空が21世紀に は拡がっているのみだ。
ほとんどの音楽のハーモニーが算数なのに対して、 普通のジャズの『ハーモニー』 はその時点で数学だというのは間違いないだろう。
『リズム』という概念は、ジャズだけでなく、 あるいはフュージョン、 プログレやバルカン系の音楽ではかなり深められたものだ!
まずは「裏」という概念でリズムにグルーヴをもたらすが、この「 裏」が、
シンコペーションという形でコードの変わり目に入ると、 コードのチェンジのポイントもずらされるので、
意外にこれだけでもかなり幻惑されるものだ。
ジャズやブラジル系のラテンではそんなに激しいシンコペーション はないものの、
フュージョンで、そして、 アフロキューバンというキューバ系のラテンではこのシンコペーシ ョンが嵐のように入る。
そして、 CPJにおいては普通のジャズではあまりない変拍子が極限まで( 15/16,23/16,35/16などなど)入っていて、
感覚的には分母が4や8である変拍子に比べても、 分母が16の変拍子のインパクトは圧倒的であるが、
なかなかそれはフュージョンのほんの一部にぐらいしか見られない 。
更には変連符という変拍子を遥かに凌駕する複雑性が得られる概念 がCPJではかなりメインとも言える。
変拍子が算数だとしたら変連符はまさに数学だ。
この変連符という概念は、それまでの音楽の中ではプログレの中で も、ほんの一握りの音楽にしか存在しなかった!
つまり、一流のミュージシャンの間ですら、 この変連符をちゃんと解釈できている者は非常に少ない。
そして更には、 その両者に共通して盛り込める大人の遊びであるポリリズムはリズ ムのトリックアートだ!
ある一定のリズムに対して、正確無比にズレてゆくような、 関連した違う周期のリズムが同時に存在する状態だ!
このリズムの発展における強みは、
ハーモニーの進化がとっくに天井を打っているのに対して、
基本的に細分化の限界がないせいか、
「青天井」だと言えることだ!
拍子を増やす方向性だって限界はないし、
ポリリズムや変連符の細密性を高めるのも限界はない、 ただそれを演奏するのにとてつもない技術は必要になるが、 それは時間をたっぷりかければかけ続けただけ進化するのだ!
『メロディー』に関して、 これはある意味常にハーモニーとの関連性がつきまとうが、
基本的に、スケールの中で、
1.2.3.4.5.6.7とか、1.3.5の順番のような、
スケール自体とコードトーン自体をあまり真っ向からなぞるのを避 けた上で、
順番を色んな飛び方したり、
上下も一方向にならずに変化し続け、
更には、スケールから外れた音をうまく正しく使って、 アプローチノートとして、
そのアプローチの種類もなるべく多く使い幅を持たせる!
そこまでで、インサイドについての旅は概ね終わりだが、
そこからまたアウトライニングまでを盛り込めば、 かなり多種多様なラインができる!
そしてしかも調性が動き続けるのが常であるジャズのコードの流れ の中で一つのスケールから次のスケールへと変わる中で何事もなか ったようになるべく自然な流れになるように繋ぎ続ける。
ここまでやって得られる究極の複雑性は、
CPJとして、ジャズの特徴をとことん極端に打ち出すので、 かなりのジャズ感が出るはずだが、ジャズが数学だとしたら、
それを例外的に極端にしているということは、
超弦理論だとかいう状態になることから、
その特徴も逆にわかりにくくなって聴こえている可能性もあるのが 、創る側からすると想像しにくい部分だというオチがある。
そして更には、
これまでに書いたあらゆる要素を、
『書き譜』と『アドリブ』 の両面において実現した状態をCPJとする。それは、 最後のJがジャズという意味であり、ジャズではアドリブ部分
は当然必須だからだ。
ただ、この複雑性の中でやるには、
クラシック並みの譜面の再現性と、
ジャズをずっとやり続けて得られる、 あらゆる調性の戒律を把握して縦横無尽に動き続ける力と、
究極のプログレまでをも凌駕するリズム感を要するから一筋縄では いかない。
それゆえ、一生研鑽は続けないとならないし、
同じ人間として千年生きても、
万年生きても、
伸びしろはあり続けるのだろう。