51 美しいメロディーという概念はあるのか

「あの曲のメロディーって美しいじゃない?」「あのメロディーって綺麗よね〜」

などと言う表現をよく耳にしますが、
本当に絶対的に美しいメロディーというのは存在するのでしょうか?
暴論かもしれませんが、そんなものはないと思います。
例えば、多くの人が「美しい」と言うメロディーで、僕には美しく思えないものはざらにあるし、その方が多いです。
「とっつきやすさ」を「美しさ」と定義するか、
それとも「深み」を「美しさ」とするかなど、「美しさ」の定義は抽象的であるからいろんな可能性に満ちているのです。
そしてしかも、音楽に普段触れていない人にとってのいいメロディーと、
音楽を四六時中頭の中で鳴らしている人にとっての究極のメロディーと、
の間には大きな乖離があることは容易に想像できると思います。
つまり、「美しいメロディー」という概念は絶対的なものでは決してない筈です。
敢えてやや具体的な例を出すとすると、
メロディーの中にトライアド(1度、3度、5度)や
メジャースケール(1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度)などのわかり易い構造を順番に上がったりさがったりする部分がある場合にも、多くの人はそれがキャッチーなことから「いいメロディー」「美しいメロディー」と言う場面も見受けられます。ただ、僕は逆にジャズの教育の場面においても、執筆したジャズ理論書でも、そのような流れは「禁じ手」にしています。わかり易いけど、使い尽くされているし、少なくとも究極のメロディーを日々編み出して行こうとしている音楽家たちにとってはそれらは「陳腐で辟易としてしまう」メロディーで、今更この時代でまたやりたいことではない、というケースはザラにあるのです。
なので、そういう表現をする時には、ぜひ、
「私はこのメロディー好きです!」
と表現してあげて欲しいと思っています。