☆49 右脳の暗譜と左脳の暗譜

僕は個人的にはライブは暗譜でやる主義を貫いています。

ただ、僕のやっているCPJという音楽は、ジャズというには大変なテーマが書かれていて、テーマだけで譜面にして17ページもあるJunky Funkという曲なんかは、ライブで何度も暗譜で演奏しているのに、よくよく考えてみると未だにちゃんと暗譜ができているとは言えないんです。

いや、極論を言えば、暗譜が完全にできている状態、というのにたどり着くことはなかなかないのです。
何度も譜面を置かないで人前で演奏している曲ですら、なんです。
というのは、人間は素晴らしい右脳の力を持っていて、曲を譜面なしで弾ける状態になるのに、まずは、右脳で暗譜しているものです。
つまり流暢に弾けている状態だけど、実は左脳では覚えていないので、53小節目でとまってしまったら54小節目から弾けなかったりする恐怖と隣り合わせなのです。
それは、演奏家の精神状態に悪影響を及ぼしかねないレベルの暗譜です。
そこで、「左脳での覚え直し」というのをやるようにしています。
それは、譜面を凝視して、細部まで想いを巡らせ、1音1音の音程やリズムやコードやニュアンスを覚えて、曲のどの小節からでも弾けるような状態なんです。
ところが、右脳での暗譜に比べて、おそらく100倍ぐらいかかる作業なので、やはりこれはどの曲に関してもなかなか、100パーセントの左脳暗譜は達成できないのですが、、、それがたとえ23パーセントぐらいでもかなり安心感、そしてその楽曲への親近感も増幅して、楽しんで演奏できる度合いが増えるので、できる限りそのクオリティーを高め続けるしかありません。しかも、ジャズの場合、そのコード進行上で縦横無尽に演奏できる、というのも暗譜のうちなので、やれることに際限はないので、楽しみは永久に続きます。
つまり、「あなたはこの地球で6億年過ごさないとならないです」と言われても、全く退屈しないほどできることはあるのです。